【感想】私の嫌いな探偵 鳥賊川市のいかがわしい短編集

2022年6月10日

壁に向かって全速力で走る男、殺人現場から消える死体、死体の口から飛び出した謎の光。

鳥賊川市で起こる奇怪な事件を鵜飼探偵がのらりくらりと解決していきます。

今回は東川篤哉さんの人気シリーズ「鳥賊川市シリーズ」の7作目「私の嫌いな探偵」を読んだ感想について紹介します。

前作に引き続き今作も短編集。

鳥賊川市ワールド全開の展開でとても楽しめました。今作は今までよりもややユーモア強めでしたね。

今までの作品からの小ネタも細かく散りばめられていて、ファンとしてはとても嬉しかったです。(鳥賊川市シリーズでこの作品を一番最初に読んでも普通に楽しめるとは思います。)

そして肝心のミステリー要素もしっかり読み応えあり。ちょいちょい、無理あるんじゃない?と疑問になる点はありましたが、それ含めて鳥賊川市シリーズの良いところ。

最初から最後までとても楽しめました。

短編集は短編集の良さがでているのですが、、正直に言うと、鳥賊川市シリーズは長編が読みたい。。というのが本音です。

書籍概要

題名:私の嫌いな探偵

著者:東川篤哉

初版発行日:2015年12月20日

出版社:光文社

感想

それぞれの短編の感想を紹介します。

死に至る全力疾走の謎

短編集の1話目としては上々ですね。舞台背景の説明(鳥賊川市の説明)、登場人物の紹介などがしっかりされていました。

賊川市シリーズ感強めで、しっかりとこのシリーズの世界観を読者に提示してくれています。

この1話目で、読者を鳥賊川市ワールドに惹き込む役割を果たしていると言えます。

鵜飼探偵と朱美さんの掛け合いも面白く、これぞ鳥賊川市シリーズ!となる作品でした。

すこし無理はあるけど、奇想天外なトリックも鳥賊川市シリーズっぽくて良かったですね。

探偵が撮ってしまった画

2作目はオーソドックスなミステリー作品でした。

1作目とは一転して、正統派(?)な密室トリックが使用された本格ミステリー。もちろんユーモア要素はしっかり散りばめられていますが。

こういうちゃんとしたミステリーも書けるんだぞと言わんばかりの作品。本当に幅広く読者を楽しませてくれますね。

鳥賊川市シリーズは密室殺人が割と多く出てきますが、その中でも最もシンプルなトリックだと感じました。勘の良い人はすぐ見抜けるのではないかと思います。

あと、志木刑事はともかく、砂川警部の無能感が少し気になりました。作中では割と有能な警部という印象があったので、この作品での描かれ方は少し疑問でした。

鳥賊神家の一族の殺人

タイトルから分かる通り、ある有名作品のパロディ。こういう遊び心も東川篤哉さんらしいですね。

まあ自分はまだその有名作品は読んだことがないので、どこまで寄せているのかは分かりかねます。。こういう作品に出合う度に、昔の名作をもっと読まねば!と読書のモチベーションが上がります。

鳥賊川市の名家で殺人事件が発生する。殺人現場で死体が消える(移動する)。この作品も舞台背景やトリックは割とオーソドックスです。

2作目も3作目も割とシンプルなトリックだなあ、と思っていたらそこは流石。推理パートでまさかの展開(笑)

シンプルなミステリーから、急にイレギュラーな推理パートへと突入するギャップが良かったです。

死者はため息を漏らさない

4作目は心が温まるほっこりストーリー。

ユーモアや、それと対照的な本格ミステリーが注目されがちですが、ほっこり作品もそつなく描くのが東川篤哉さん。

ええ話やなあ。でしっかり綺麗に締めるのは見事でした。ハッピーエンド好きな自分はとても好きな話でした。

主要キャラ以外の登場人物である、厨二病の中学生のキャラも良い味を出していて面白かったです。

死人の口から謎の光る物体が飛び出してくる。といった不思議な現象もよいスパイスでした。

もしかしてエクトプラズム⁉

二〇四号室は燃えているか?

浮気調査を依頼された探偵一同が調査対象の部屋を覗き見していると、浮気相手と突然ハグを始める。

大人な展開を予想して、息を飲む探偵達。目を凝らして部屋の中を凝視するが、突然部屋の中から火が上がる。

急いで部屋まで行って中を確かめると…

特に理由は無いですが急にあらすじっぽくまとめてみました。この話はトリックや展開、ユーモア要素やオチのバランスが良いなと感じました。

全体的にクオリティが高く楽しめるけど、あえて特筆する点を挙げるのは難しい。。という感じですね。

あえて書くとしたら、阪神(広島)の金本が少し登場したのが嬉しかったですね。

こんな人にオススメ

ポップな作品が好きな人

ミステリーと聞くと身構える人がいるかと思いますが、この作品はとにかくポップ。

ユーモア要素が散りばめられており、くすっと笑えるギャグが心地よいです。

小説をあまり読まない人でも読みやすい作品です。

キャラ物の作品が好きな人

シリーズ物なので主要キャラが特徴的です。キャラの掛け合いなどを楽しめる人にはオススメです。

できればシリーズの1作品目から読んで欲しいですが。

ライトノベルが好きな人

ライトノベルではないのですが、ライトノベル感は少しあるのかなと。

ライトノベル好きだけど、普通の小説にも挑戦してみようかなという人は、まずこの作品を読んでみると良いのではないでしょうか。

まとめ

今回は東川篤哉さんの「私の嫌いな探偵」についての感想を紹介しました。

自分の推しキャラの朱美さんがたくさん登場したので自分的にはとても満足でした。

前作の「はやく名探偵になりたい」→流平視点→流平がたくさん登場

今作の「私の嫌いな探偵」→朱美視点→朱美がたくさん登場

次作の「探偵さえいなければ」→犯人視点→犯人視点で物語が進んでいくのかなあと勝手に予想。

「ここに死体を捨てないでください!」のような、犯人視点の作品になるのでしょうかね。

既に出版されている小説で考察っぽいことしてみました。

次回作も既に購入済みなので、読むのが楽しみですね。

余談ですが、鳥賊川市シリーズの最新作が最近発売されたんですね。しかも長編作品。早く読みたい~!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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