【感想】優しい音楽 奇妙な設定×ほっこり展開

2022年8月22日

読み始めはとても奇妙な設定なのに、読み進めていくと何故かほっこりしてしまう。

読むと優しい気持ちになれる小説 瀬尾まいこさんの「優しい音楽」を読んだ感想について紹介します。

以前愛媛旅行に行ったときに、喫茶店に合った小説をなんとなく手に取りました。普段の自分なら絶対手に取らないジャンルの小説ですが、料理がくるまでの暇つぶしに読んでみました。

さら~っと流し読みしましたがどうやら面白い。始まりから奇妙な展開でいつの間にか不思議な小説の世界観に惹きこまれていました。すぐに料理が来たので、40ページ程読んだのですが、続きがとても気になってしょうがなかったので、旅行帰りにすぐ購入しました。

3作品が収録された短編集で、どれもほっこりした気持ちになることができました。

書籍概要

題名:優しい音楽

著者:瀬尾まいこ

初版発行日:2008年4月

出版社:双葉文庫

感想

それぞれの短編の簡単なあらすじと感想を紹介します。

優しい音楽

主人公の永居タケルは見知らぬ女性に突然話しかけられる。女性にナンバされるような顔じゃないと自称するタケルは動揺する。次の日もその女性は自分を探しているようなので、新手のセールス、宗教の勧誘、ストーカーなどではないかと疑う。

目的を問い詰めてみると、「一目惚れしたんです」という一言。そんなわけがない と更に問い詰めると、それは嘘のようだ。とにかくその女性は自分と話をしたいということだったので、毎朝駅で話をするようになる。いろいろあって2人は付き合うことになる。だが、家族とは一向に会わせてくれないことに不信感を抱き始める。

その女性が近づいた目的はなんなのか?なぜ主人公を家族に会わせてくれないのか?ある日唐突にその真相を知ることに。

この本のタイトルにもなっている話というのもあり読みやすかったです。短編集の1作品目で、瀬尾まいこさんの世界観を紹介する意味合いもあるのかな。

2人の視点から描かれることで、お互いの心情を読者がわかるような構成も良かったです。読んでいくと、女性が男に近づいた理由や家族に会わせたくない理由もななんとなくわかってくるのですが、それを分かった上でもしっかり感動させれくれました。

タイムラグ

「都合の良い女」と自称する深雪は不倫相手の娘を1日預かることに。その不倫相手の平太は奥さんと旅行に行くらしい。自分の気持ちを全く無視しているお願いに腹を立てつつも、お願いされると断ることはできない。

当日、娘の佐菜ちゃんは1人で部屋を訪ねてきた。子供が得意ではない深雪は嫌々ながらも面倒を見る。家事をしたり買い物をしたりするうちに、2人は打ち解けていくが、佐菜ちゃんの祖父(平太の父)に会いに行くことに。

なぜ佐菜ちゃんが初めて会った父の不倫相手と祖父に会いに行きたいのだろうか?

タイトル回収が1番綺麗だなと思った作品。この本の短編はどれもタイトル回収はあるのですが、この話が一番秀逸だと感じました。最初はタイムラグというタイトルと、不倫相手の子どもを預かる設定が全く関係ないように思えたのですが、最後はしっかり回収されていました。

不倫がテーマなのですが、ドロドロとした展開にはならず、最後には結局優しい気持ちにさせられます。不倫している夫、その不倫相手の女、という良くないことをしている二人ですが、読んでいると不思議と嫌いにはなれません。最後には良い人だなあ と思っていたぐらいなので、瀬尾まいこさんの世界観に完全にそまってますね。

がらくた効果

最後は同棲しているカップルのお話。好奇心ん旺盛でいろんなものを部屋に持ち込んでくる、彼女のはな子。年末に彼女はホームレスのおじさんを拾って帰ってきた。そのおじさんとは公園で出会い、何度か話をするうちに仲よくなったとのこと。

部屋に見知らぬおじさんがいることに戸惑いながらも、3人で生活をすることになる。おじさんと話していくうちに、おじさんの素性、ホームレスになった理由が明らかに。なぜ彼女はおじさんを部屋につれてきたのか?

急に彼女がホームレスのおじさんを部屋に住まわせるところから物語が始まるので、一気に心が引き込まれます。普通見知らぬおじさんが部屋にいたら恐怖でしかないですが、渋々ながら受け入れる彼氏もなかなかなものです。

見知らぬ女性から話しかけられる、不倫相手の娘の世話をする。とは比べ物にならないくらい、この小説のなかで一番奇妙な始まり方ですね。世にも奇妙な物語でこんな世界観ありそうです。

ですが、やはりこれも最後には優しい気持ちに。普通はあり得ないような状況なのに、ハートフルな展開になっていきます。

色んな雑学も学べる話で、少しためになりました。

こんな人にオススメ

ちょっと心が荒んでいる人

嫌なことがあってちょっとだけ心が荒んでしまったときは、この本を読むと優しい気持ちになれると思います。

荒みすぎている時や、余裕が全くない時は逆効果かも。心温まる話って自分に余裕がないと意外ときつかったりする。

人とのつながりを大切にしたい人

人と人のつながりの大切さを感じます。ハートフル系の話なので、のんびり読めます。

優しい世界に住みたい人

優しい世界の物語で、出てくる人達はみんな優しいです。嫌な人がほとんど出てこない理想郷のような世界観。

そんな世界観が好きな人には是非オススメです。

まとめ

瀬尾まいこさんの「優しい音楽」を読んだ感想を紹介しました。

どれも優しく心温まる物語で、心がきれいになった気がします。嫌なことや大変なことがたくさんありますが、この小説のような世界になってくれたら良いな という気持ちになりました。

人と人とのつながりに優しさは欠かせないことを改めて感じました。奇妙な設定と優しい世界観が絶妙にマッチした 「優しい音楽」を是非皆さん読んでみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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