【感想】山田悠介「親指探し」ホラー苦手でもギリ読める

2022年3月24日

こんにちは。つぼたっくのあおいです。

今回は山田悠介さんの「親指さがし」を読んだ感想について紹介します。

親指さがしって自分(24歳)が小学生低学年くらいの頃にめっちゃ流行りました。中には実際に親指さがしをやっている人とかもいたような。

自分は怖がりだったので、参加してはないんですけど。当時は親指さがしの映画のCMを見るだけでも震え上がっていました。

大人になった今は流石に大丈夫だろうと、書店で親指さがし(書籍)をしてきました。

ネタバレ無しで本の感想を紹介します。

書籍概要

題名:親指さがし

著者:山田悠介

初版発行日:平成17年10月

出版社:幻冬舎文庫

あらすじ

主人公の武は7年前、小学6年生の時、友達5人と親指探しというゲームをする。洋館でバラバラ殺人が発生したらしいが、被害者女性の親指だけが見つかってないらしい。その洋館に行って親指を探すゲームである。

そのゲームの最中に幼なじみの由美が行方不明になってしまう。行方不明から7年が経った今、由美の手がかりを探すために、もう1度親指探しをすることに..

怖さはどのくらい?

普通に怖いけど、日常生活に支障をきたすレベルではないかな。風呂入る時視線が気になるとか、夜1人の時思い出して怖くなるとか、はなかったですね。

映像だったらもっと怖いんだろうなあと感じました。当時映画を見ていたら間違いなくトラウマだったでしょうね(笑)

昔からホラーはどちらかといえば苦手なのですが、全然楽しめたのでホラー苦手な方でも読めるんではないでしょうか。

ホラー小説に挑戦してみたい!という方にとってはちょうど良い入門編のようなレベルではないかと思います。

感想

たしかに怖いけど..

怖いけど、確かに怖いのだけれど、そして面白いのだけれど、どこか物足りない。何か釈然としないなあと感じました。全体的に、動機的な部分が少ないせいですかね。淡々と事が起こっていくので、理由もなく理不尽なことが起こっているようでした。

とにかく展開が早かったです。サクサクと進んでいくので読みやすかったのですが、そのせいで怖さが半減しているような感じですかね。怖いのが苦手な自分にはちょうど良かったのかなとは思います。

登場人物の人物像もあまり詳細に描かれていないため、キャラクターにあまり感情移入もせずに読みました。主要人物以外は特徴がほとんどない感じですね。

そい言うのもあって無機質な感じで淡々と進んでいく展開が不気味でもありました。

こういう感じの展開は作者の作風なのでしょうかね。好き嫌いは別れると思います。山田悠介さんの作品は初めて読むので、他の作品はどうなのか読んでみたいですね。

後は、やっぱりホラーではお馴染みの、「そんなところで1人になるなよ」という展開もありました(笑)ホラー展開にするためには、どうしても1人は勝手な行動とりがちですよね。そういう行動にはいつもヤキモキさせられます。

設定が秀逸

この本で凄いところは何といっても設定です。親指さがしという心霊ゲームを生み出したのは革新的だと感じました。こっくりさんもですが、儀式的なゲームは恐怖がそそられますよね。「親指さがしって知ってる?」というフレーズにより、どんなことが起こるのか?と読者をワクワクさせてくれます。

そのゲームを主人公たちがやり始めた時の不穏な感じや、臨場感に心躍りました。

ゲームのルールや設定もしっかりしていたので、それも良いですね。輪になって横の人の親指を右手で包む、親指さがし中に肩をポンポン叩かれたときにうしろを振り返ったらいけない。など、恐怖を煽ってくるルールがたくさんあります。まあホラー作品でそのルールをちゃんと守ることなんて皆無なので、ルールというよりはフラグといった方が正しいかもしれないです(笑)

実際に自分たちでもできそうなので、当時は実際に親指さがしをしてみた人もたくさんいたのではないでしょうか。自分が小学生の時の高学年の先輩は夜集まってやっていたと言っていましたね。その人たちが今どうなったかは分かりませんが…そういうゲームをやるときは自己責任でお願いします。

読後は割とスッキリ

ホラー作品の割にはスッキリ終わったのではないかと思います。まあ人は死ぬし、何も解決はしていないような感じはしましたが、不思議と後味の悪さは感じなかったです。

上でも説明したとおり、サクサク進んでいくからでしょうかね。起こったことだけ考えるととても悲惨なんですが、あまりショックは受けなかったです。登場人物にあまり感情移入していなかったからかもしれないですね。

終わり方も、読み手に考えさせるようなモヤっとした終わり方なのですが、それも読後のスッキリ感にはあまり影響しなかったです。何も解決していない感じの終わり方も好みが別れるかと思います。

最近で言うとドラマ「あなたの番です」の最終回のような終わり方です。これから何かまた起こるのではないか?と思わされますよね。自分はそういう終わり方はあまり好きでは無いですが、こういうホラーな物語である限りしょうがないのかなとも思います。

こんな人にオススメ

ホラー苦手だけど興味がある人

苦手だけど、怖いもの見たさってありますよね。怖さ的にはそういう人にちょうど良いのではないでしょうか。ホラー大好きな人にはちょっと物足りないかも

心霊的な儀式が好きな人

小さい頃コックリさんとかをやったことがある人は好きだと思います。心霊的な儀式や肝試しはどうしてもやってみたくなるものです。

無機質な物語が好きな人

淡々と進む展開が好みな人にはぴったりかと思います。

まとめ

今回は山田悠介さんの「親指さがし」を読んだ感想について紹介しました。

淡々と恐怖が襲ってくるノンストップ・ホラー小説。ページ数が少ないので、あっという間に読み終わります。

親指さがしという斬新な設定はとても魅力的でした。山田悠介さんは他にも「リアル鬼ごっこ」などの作品もあり、「佐藤さんを減らす」というこの設定もとても斬新ですよね。小学生の頃、友達から聞かされた時にとても驚いたのをよく覚えています。

人を惹きつける恐怖の設定を生み出すのにたけている作家さんなのでしょうかね。

興味がある方は是非読んでみてください!

最後まで読んでいただきありがとうございました!