【感想】「密室の鍵貸します」 東川篤哉さんの真骨頂!ユーモア本格ミステリの人気シリーズ

こんにちは。つぼたっくあおいです。
今回は東川篤哉さんの著書「密室の鍵貸します」を読んだ感想を紹介します。
書籍紹介
題名:極密室の鍵貸します
著者:東川篤哉
初版発行日:2006年2月
出版社:光文社
この本を買った理由
自分が小説にハマるきっかけになった作家東川篤哉さん。
なんとなく表紙に惹かれて「交換殺人には向かない夜」を購入したことがきっかけです。
それがめちゃくちゃ面白かった。
調べるとどうやら鳥賊川市(いかがわし)シリーズの4作目だということが分かりました。
これは鳥賊川市シリーズの1作目から読むしかない。
早速シリーズ1作目の「密室の鍵貸します」を購入しました。
いやあ、やっぱり面白い。
ユーモアミステリというジャンルがどうやら自分に刺さっているらしい。
所々にちりばめられたユーモア要素が癖になるんですよね。
期待以上の内容で大満足。
既にシリーズの2作目も購入して、読み始めています(笑)
※4作目から読んでも普通に楽しめました。シリーズ物だけど、シリーズ物感はあんまりないかも(笑)
なので、鳥賊川市シリーズは何ぞやという説明はこの記事では行いません。
東川篤哉さんを簡単に紹介
私が今一番好きな作家の東川篤哉さん。
1968年広島県尾道生まれ。岡山大学法学部卒。’96年から公募アンソロジー『本格推理』『新・本格推理』に短編を発表。2002年、カッパ・ノベルスの新人発掘プロジェクト「Kappa-One」第1弾に選ばれた『密室の鍵貸します』で、本格的にデビューを果たす。作品に『学ばない探偵たちの学園』『館島』『交換殺人には向かない夜』『殺意は必ず三度ある』などがある
密室の鍵貸しますより
他にも代表作に「謎解きはディナーのあとで」シリーズもあります。
昔ドラマで見た記憶あるけど、著者が東川篤哉さんってことは全く知らなかったです…
櫻井君と北川景子さんのドラマだったかな?当時めっちゃ流行ってたような。
売れっ子作家の1人です。
本書の最後では、ユーモア本格ミステリのエースと紹介されています。
本格的なミステリに、ユーモア要素を組み合わせた小説が特徴です。
ミステリが好きな人や、面白い小説が好きな人にオススメの作家さんです!
これは余談ですが、自分と出身大学が同じということにまず驚きました(笑)
凄く親近感湧くというか、これからもずっと応援していきたいです。
密室の鍵貸しますの特徴
「密室の鍵貸します」はユーモア本格ミステリです。
キャラの掛け合いが面白おかしく繰り広げられるので、物語がテンポよく進んでいきます。
たしかに、ユーモアミステリというだけでも特徴的です。
しかし、この本の最大の特徴はメタ視点での描写だと思いました。
本文でも以下のような描写があります。
この物語の語り手は誰なのだ?その問いに対する答えは、何種類か考えられる。この本の背表紙ん時偉そうに名を掲げている「東川なにがし」とかいう人物が語り手であると考えていただいても結構だし、登場人物の中の誰かと考えてもらってもいいだろう。あるいはミステリ世界でよく言われるところの≪神の視点≫という考え方もある。最も無心聾者の多い日本では、この言葉にはちょっと馴染めない人も多いかもしれないが。
密室の鍵貸しますp26より
ゴリゴリのメタ発言ですよね(笑)
これがあるから、より物語として楽しめるのだと思います。
一種のファンタジー的な物語だと考えても良いかもしれません。
また、本書の様々な場面で作者(神)の視点で解説やツッコミが入ります。
ちびまる子ちゃんのナレーションみたいな感じですね(笑)
メタ的な発言が多く、物語にスパイスが加わります。
解説もしてくれるので、読者が置いてけぼりになることもありません。
もう一つの特徴は、2つの視点を行き来するような形で進行していきます。
まあこれは珍しくもなんでもないですね。
主人公側と刑事側の視点で物語が進みます。
作者曰く、
この二つの視点を行き来することによって、事件の流れや全体を俯瞰することが可能になるだろう。それが狙いである
密室の鍵貸しますp26より
主人公たちの視点、刑事の視点、そして第三者(語りてというか作者というか神というか)の視点。
この3つの視点で進行していくということですね。
感想
キャラの掛け合いが良き
鳥賊川市シリーズの一番の魅力はキャラクターと言っても過言ではありません。
全キャラが立っていて、魅力的。
そのキャラクターたちの掛け合いがとても面白いです。
キャラクターがユーモア溢れる会話をしているので、読んでいて飽きません。
すぐに物語に引き込まれること間違いなしです!
私は、鳥賊川市シリーズのキャラクター自体が好きになりました。
キャラクターの掛け合いが目当てで続編を買ったようなものです(笑)
特に探偵の鵜飼杜夫が個性的で面白い。
マイペースで、飄々としている感じが何とも言えない味を出しているんですよね。
トリックや伏線は超本格
ユーモア部分に注目されがちですが、ミステリも超本格。
ユーモアでポップな小説は、ミステリが微妙というイメージがあるかもしれません。
そんな考えは一瞬で覆されます。
さすがユーモア本格ミステリのエースといったところです。
トリックはとても凝ってるので、謎が解き明かされたときは思わず感嘆してしまいました。
自分にとっては複雑だったので、何度か読み返さないと理解できなかったです…
そして、ミステリと言えばやはり伏線。
この伏線もうまい具合にちりばめられています。
お見事!と舌鼓を打ちました(謎の上から目線)
伏線の使い方が本当に上手だと感じました。
複雑なトリックと、綺麗な伏線が相まって推理パートは続きをめくる手が止まりませんでした。
主人公が容疑者に⁉
※これは少しネタバレになるかもしれませんが、本書の裏表紙のあらすじに乗っている程度のことしか書きません。
主人公が容疑者になるというのは、まあ良くあることかなと思います。
ただ、「密室の鍵貸します」の主人公は言い方を考えずに言うとポンコツです。
ポンコツは言い過ぎですが、何も考えてない大学生です(笑)
あまり詳しくは言えませんが、(ネタバレになりそうなので)主人公のある行動のせいですれ違いが生じます。
まるでアンジャッシュのネタのようなすれ違いです。
つまり、余計なことをした結果事件をより複雑にすることになります。
タイトルでもわかると思いますが、密室ということもありとても複雑になります。
主人公にツッコミながら小説を読むスタイルの自分は、
「やめとけやめとけ」「そんなん絶対ダメやん」「なんでそんなことするんや」
と似非関西弁でツッコミまくってました(笑)
まとめ
今回は東川篤哉さんの「密室の鍵貸します」について紹介しました。
鳥賊川市シリーズの1作目であり、東川篤哉さんのデビュー作でもある作品。
いや、やっぱり面白かった。
ユーモアミステリというジャンルが自分にとても合っているんですよね。
面白い小説やポップな雰囲気が好きな方
本格的なミステリが好きな方
は是非読んでみて欲しいです。
小説をあまり読まない方にとっても割と読みやすいのかなと思うので、良かったら読んでみてください
また、2作目の「密室に向かって撃て!」もとっても面白いです。1作目を読んで面白いなと思ったら、2作目も是非読んでみてください。
2作目以降も感想記事をかいているので、良かったら他の記事も読んでいただけたらうれしいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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