【感想】「そして誰もいなくなった」シンプルかつ至高のミステリー

2022年3月9日

こんにちは。つぼたっくのあおいです。

今回はアガサ・クリスティーの著書「そして誰もいなくなった」を読んだ感想について紹介します。

小説に興味が無くても、誰もが一度は耳にしたこがあるくらい有名な本ですが、今更ながら読了しました。有名すぎて逆に読む気が起こらないような感じで、なんとなく敬遠していました(笑)

読んでみると、、、

めちゃくちゃ面白い

設定がシンプルかつ展開が早いので、あっという間に読み終わります。でも読みごたえはしっかりあるので、読了後の満足感もほどよい。人がたくさん死ぬにもかかわらず、読後の後味の悪さは感じさせない。まさに、至高の作品でした。現代のミステリー作家がこの本に影響を受けているのにも頷けますね。

以前東野圭吾さんの「ある閉ざされた雪の山荘で」を読んだのですが、作品中に「そして誰もいなくなった」が登場し、それを模したような展開があったので、気になって読んでみることにしました。他の小説で登場する小説は読みたくなってしまうんですよね。先に「そして誰もいなくなった」を読んでいた方が、「ある閉ざされた雪の山荘で」をより楽しめた感はあるのですが、、

書籍概要

題名:そして誰もいなくなった

著者:アガサ・クリスティー

訳:青木久恵

出版社:ハヤカワ文庫

あらすじ

この本のあらすじはみんな知っているかと思いますが、、、簡単に紹介します。

オーエンという謎の人物からの招待で、後ろめたい過去を持っている10人が集められる。島にオーエンがいないことに不審がりながらもみんなで夕食をとることにする。

すると、突然お酒を飲んだ1人が死んでしまう。残された9人は明日には島を出ることを決意するが、天候の影響で迎えの船が来ないことを知る。

その後も、島に閉じ来れられた10人は1人ずつ殺されていきます。そして、ある童謡になぞらえた殺され方をしていることに気付いた一同は恐怖のどん底へと突き落とされる。

10人の中に殺人鬼がいるのか、それとも島のどこかに殺人鬼が潜んでいるのか、、疑心暗鬼になりながら、みんなの精神はすり減っていく。

感想

とにかく読みやすい

読んでいて一番に思ったことは読みやすいです。特に小説をあまり読んだことが無い人にとっては、読みやすさは非常に重要なポイントですよね。

読みやすい理由の1つ目として、登場人物が覚えやすいことです。

小説の第1章で、島に招待されている人が割と詳細に紹介されています。ゲームでいうところのチュートリアル的な章ですね。ここで登場人物の社会的ステータスや性格、過去の出来事などがざっくり理解することができます。それぞれがどんな人物かを序盤で理解できるので、その後の人間関係や心情なども分かりやすく読み取ることができます。

日本人には馴染みのない英名なので、名前は少し覚えずらいですが、小説の最初のページに登場人物の名前と職業を書いてくれているので、それを別の紙にメモして確認しながら読めばかなり読みやすくなるはずです。

2つ目の理由としては、展開が早いことです。

読み始めてから読み終わるまであっという間です。無駄なやり取りや描写が無く、とにかくサクサク進んでいきます。どんどん展開が進んでいくので、読み始めると手が離せないです。1人ずつ人が死んでいくということは事前に知っていましたが、こんなにどんどんと死んでいくとは思わなかったです。

あっさりと進むため、とんでもない事件が起こっているのに、あまり凄惨さは感じられないのも特徴ですね。

圧倒的な没入感

この小説を読むと圧倒的な没入感を味わえます。

上では読みやすいという表面上の特徴を説明しました。読みやすい小説というだけで、没入感は味わえるのですが、肝心なのは内容ですよね。いくら読みやすくても内容がつまらなければ飽きてしまいます。

「そして誰もいなくなった」はというと、単純に内容が面白いのです。読みやすさに内容の面白さが加わることによって、読者は惹きつけられページをめくる手が止められなくなります。

ある空間に閉じ込められた人たちがどんどん死んでいくという、現代ミステリーでは良くある話ですよね。「そして誰もいなくなった」が発売されて以降も、同じような設定でより複雑にアレンジされたような小説は数多く存在します。それでも、今もなお色褪せることなく読み手を惹きつける魅力というのはすさまじいものです。この小説が発売された当時はとても斬新かつ、衝撃的だったに違いありませんね。

この小説に惹きつけられる理由の1つは、作者のメッセージ性にあると思います。

島に集められて殺される10人は後ろめたい過去を持っている人です。それぞれの過去は、非常に悪質で許しがたいことばかりです。私も10人の過去の出来事にはとても腹が立ちました。それのせいか、1人ずつ殺されて行っても、すこし清々しい気持ちになるのです。

死んでよい人間はいない。というのは前提にあるのですが、悪事を働いた人たちがどんどん制裁されていくストーリーというのはやはり清々しさを感じさせられます。不祥事を起こした芸能人に対しては何を言っても良い、という風潮が生まれるように、人間は今も昔も勧善懲悪が好きなんでしょうね。自分も勧善懲悪が好きなんだなあと改めて思い知らされました。

司法で裁けない悪人を、制裁していく。という作者のメッセージが読者を惹きつける要因の1つだと感じました。

それに加えて、犯人が誰か分からない。というミステリー要素も魅力的です。心霊的な現象ではなく、人が計画的に実行しているものなので、誰がどうやってやっているんだ?という疑問が読者を惹きつけます。

そして謎に包まれたまま終わるのではなく、最後には全てスッキリ謎が解けます。全てのことがなるほど!とつながるので、読後の爽快感も良いですね。読者の心をグッと掴んで、最後はスッキリさせてくれる。控えめに言って最高です。

こんな人にオススメ

ミステリーが好きな人

言わずもがなですが、ミステリー好き必見です。絶対楽しめます

勧善懲悪が好きな人

この小説は勧善懲悪の物語です。とは言い切れませんが、自分はそう感じました。

教養として有名な小説を読みたい人

教養として、この名作を読んでおいて損はないと思います。読書好きに関わらず、多くの人が知っている小説なので、雑談とかでも気軽に挙げられる小説だと思います。

好きな小説や前読んだ小説を話す機会でも、知名度がある本なので話が広がりやすいかなと思います。

まとめ

今回はアガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」を読んだ感想について紹介しました。

有名な話で、ストーリーや展開を知っている人も多いと思いますが、知ってても最後まで楽しめる小説でした。

名作として昔から語り継がれているのも納得の面白さです。

読んでいるときはリアルさに欠けるかなと思いましたが、最後の種明かしの章では、現実性が裏付けられているので、現実主義の方でも楽しめるのではないでしょうか。

たまには昔の名作を読むのも良いなとしみじみ感じました。

皆さんも是非読んでみてください!

最後まで読んでいただきありがとうございました!