【感想】長江俊和「出版禁止」 ノンフィクション風フィクション

こんにちは。つぼたっくのあおいです。今回は長江俊和さんの「出版禁止」を読んだ感想について紹介します。
心中ーそれは愛し合う二人がお互いの愛を永遠に誓うために命を絶つこと。
この本はある心中事件の当事者を取材し、真相を突き止めようとしたジャーナリストについての物語。
作者の長江俊和の元に送られてきた1枚のルポルタージュをほとんど原文のまま本として出版したもの(という設定?)です。
なので、本のタイトルは出版禁止ですが、その本の中でルポルタージュの「カミュの刺客」が紹介されているような形式。少しややこしいですね。
ノンフィクションのルポルタージュという設定ということもあり、内容は非常にリアルでした。正直、途中まで設定だとは思わずに、本当にノンフィクションのルポルタージュだと勘違いしていました(笑)
設定などめちゃくちゃ細かく凝っていましたので、全部含めてエンターメインメントとしてとても楽しめました。が、結構ショッキングな内容で、数日間は尾を引きました。。
自分がホラーやグロ系苦手ということもあるのですが、すこし気分が悪くなりましたね(笑)
書籍概要
題名:出版禁止
著者:長江俊和
初版発行日:平成29年3月1日
出版社:新潮文庫
あらすじ
出版禁止の中で紹介されているルポルタージュ「カミュの刺客」についてのあらすじを紹介します。
2002年に発生した「熊切敏心中事件」。ドキュメンタリー作家の熊切敏と、その秘書であり不倫相手の新藤七緒が山奥の貸別荘で心中自殺を行った。
病院に運ばれた後で熊切敏は死亡したが、相手の新藤七緒は意識を取り戻し、一命をとりとめた。
2人の心中の一部始終が撮影されたビデオテープが発見されたため、事件性はないと判断され刑事事件にはならなかった。
熊切敏は様々な方面を攻撃しているドキュメント作品を創っていることもあり、暗殺説などがささやかれた。当時はワイドショーで世間を騒がせたが、真相は闇に葬られた。
事件の7年後、ライターの若橋呉成は事件当事者の新藤七緒への独占インタビューの約束を取り付ける。
インタビューを進めていくうちに、心中事件の真相が明らかに…
感想
叙述トリックと恐ろしい結末
完全に騙されました。。見事な叙述トリックにしてやられました。
途中までは心中事件の真相を追及するライターのルポルタージュの内容を読んでいるだけでしたが、
読み終わったら見方を変えてもう一回読み直したいと感じました。
まさかそんな伏線が仕掛けられているとは、、、と驚きを隠せませんでした。
2週目を読みながら、確かによく考えたらそういう読み方もできるよな。。。と1冊の本で2度楽しめました。(ネタバレになるので、詳しいことは割愛!)
そして、騙されるだけではなく、背筋が凍るような恐ろしい展開も楽しめました。凄惨な出来事に少し心がやられました。※少しだけグロ注意かもです!
ただ、、途中までは展開が遅く退屈でした。ページ数が少なくなるにつれて、「これ本当に面白くなるの?」と疑問でした。正直途中で読むのやめようかな~と思っちゃいました。
物語の終盤はすごい満足感あったので最後まで読んでよかった。。疑ってごめんなさい(笑)
みんな大好き陰謀論
あと面白かったのは、ゴシップ要素です。陰謀論とか暗殺説とかそういう話はやはり面白いですね。ジャーナリストが主人公ということもあり、そういう闇の部分に踏み込んでいくのでそこはとてもワクワクしました。
心中事件は実は裏で誰かが糸を引いた暗殺ではないか?心中から生き残った女性は嘘をついているのではないか?なぜ心中をしようとしたのか?
という謎に迫っていく展開が面白かったです。
黒い話が多そうな政治界にも足を踏み入れており、そういうタブーに触れるのはスリルがあって胸躍りました。
最近芸能人の裏を暴露しまくっている人が人気を集めていたりと、人間って本当にゴシップが好きだよなあと改めて感じました。
こんな人にオススメ
ゴシップ好き
ゴシップ、陰謀論などが好きな人は楽しめます。ガー〇-チャンネルとか見て楽しんでいる人には合っているのではないかと。
それと比べるとだいぶ重たい話ですが。
ジャーナリズムに興味がある
ジャーナリズムやライターについて興味がある人にはオススメです。
事件の真相を追求し、取材相手に真摯に向き合う。こんなジャーナリストが日本にたくさんいたら良いなあ。
心中を扱った作品が好きな人
この本は心中が大筋のテーマです。
心中の語源や成り立ちについても知れたので、少し教養も得られます。
まとめ
今回は長江俊和さんの「出版禁止」の感想を紹介しました。
ノンフィクション風なフィクション作品という設定がとても斬新。本当に伏線が細かく、設定もリアルでした。
こういう構成の作品は初めて読むので、新鮮な気持ちで楽しめました。
ノンフィクションの設定という中で、最後のシーンの臨場感や恐怖をここまで演出するのは作者の実力が凄いからでしょうね。
たまには、こういう小説を読むのも楽しいですね。また1つ好きな小説の幅が広がりました。
色んな本を読んでいると、自分の知らなかった世界を知ることができるので、より読書のモチベーションが上がってよいですね。
気になった方は是非読んでみてください!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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