【感想】【小説】元彼の遺言状 話題性だけじゃない!内容もしっかり面白い

2022年8月23日

荒川帆立さんの「元彼の遺言状」を読んだ感想を紹介します。

綾瀬はるかさん主演のドラマにもなったということで、話題性だけでこの本を購入。ドラマは観ていなかったのですが、観た友人はとても好評だったので、原作を読んでみることにしました。

「このミステリーがすごい!」大賞 大賞受賞作ということもあり、読むのが楽しみでした。

良くも悪くも最近の小説という印象。本格ミステリーかと言われると怪しいところですが、遺産相続問題とミステリーを掛け合わせたストーリーは面白かったです。探偵や刑事が主人公ではなく、弁護士が主人公なのでミステリー感が薄くなるのは仕方ないですね。

リーガルハイを、よりシリアスに、よりミステリーっぽくしたような雰囲気だと感じました。

ネタバレ無しで感想を紹介します。

書籍概要

題名:元彼の遺言状

著者:荒川帆立

初版発行日:2021年10月20日

出版社:宝島社文庫

あらすじ

弁護士の剣持麗子は元彼の栄治の訃報を受ける。彼に何があったのか、興味本位で共通の知り合いの篠田に連絡を取って会ってみることに。そこで篠田から興味深い提案をされる。

死んだ栄治が残した遺言状に「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」と書いてあったようだ。製薬会社社長の息子である栄治の遺産は数百億円あると言われている。

篠田は栄治と会う前に、インフルエンザに感染しており、そのインフルエンザがうつったことにしたく、弁護士である麗子に依頼をした。

麗子は栄治の遺産を手に入れるため、篠田を殺人犯に仕立て上げるべく奮闘する。

感想

気の強い女性が主人公

主人公の潔さが読んでいて清々しかったです。お金が大好きで自分に正直な性格。思ったことは誰だろうと、はっきり言いきる、一言で表すと「強い」女性。28歳で年収が二千万円近くあるということもあり、自信が溢れ出ています。

恋人からのプロポーズも婚約指輪の値段が安い。と一蹴するようなキツイ性格で、基本的には人を見下すようなことを心の中で考えている。

ちょっと嫌な感じの性格かと思うかもですが、読んでいると不思議と嫌いになれないです。とにかく自分の欲求に正直なのが潔いと感じるからですかね。自分の意見を持ち、言動に筋が通っている主人公に好感が持てます。

優れた人間観察力を使って、出会う人達に悪意のある感想を頭に思い浮かべるのは爽快でした。男性に対しての辛辣なdisがたまに自分に刺さるのも面白かったです。

最近は、様々な作品にこんな感じの女性が登場しますね。松本清張や横溝正史さんの作品には絶対に登場しない女性なので、時代背景と共に登場人物のタイプにも変化が出てくるのは興味深いです。

遺産問題はミステリーの王道

一族の遺産問題はミステリーの王道ですね。遺産を巡り殺人事件が起こる というストーリーはもはやテンプレ―トとも言えます。

この小説も大枠はそのテンプレートなのですが、そこに遺言状を巡る弁護士要素が入り込むのが新鮮でした。元彼が殺されたかもしれないから犯人を捕まえよう。ではなく、元彼の遺産を手に入れるために、知人を殺人犯に仕立て上げよう。となるのが斬新なところで、この小説がヒットした要因の1つだと考えられます。

ただ、”ミステリー”としてこの本を読むと少し物足りない物否めないです。主人公以外の登場人物や容疑者たちの描写が少ないのが原因かなと思いました。主人公以外の人にあまり感情移入できなかったように感じます。

内容は文句なしで面白かったので、本格ミステリーだと思って読むと少し物足りなく感じるかもしれませんが、ポップなミステリーと思って読むと十分楽しめると思います。

伏線回収やオチはとても綺麗で、デビュー作というのは驚きでした。今後の作品も楽しみです。

読むとちょっと賢くなる

作者が弁護士ということもあり、法律や会計の知識は本格的でした。企業や株、経営のしくみも詳細に説明されている部分があり、読みながら勉強になりました。

本格的な知識が反映されていると、物語がよりリアルになる気がしますね。

弁護士以外の知識もたくさん出てきましたが、一番面白かったのはポトラッチについての話です。日本語にすると競争的贈与。気になる方は意味や由来をネットで検索してみてください。

株式の話や法律の話が難しく、一回では理解できず何回か読み返すこともありましたが、めちゃくちゃ複雑というわけではないので安心してください。

分かりやすく説明されているので、じっくり読むと簡単に理解できると思います。

こんな人にオススメ

強い女性がでてくる物語が好きな人

とにかく主人公の麗子のキャラが良い。強い女性が好きな人には向いています。

逆に、男性に対しての偏見や女性優位な言動が苦手な方は注意。

リーガルハイが好きだった人

ドラマのリーガルハイが好きな人はたぶんこの小説も好きです。

なんとなく主人公の思想が似ているのと、全体的な雰囲気もざっくり似ている気がします。

ドラマを観た人

小説とドラマは割と違うらしいので、両方楽しめるかと。

自分はドラマ観ていないので、いずれみたいですね。

まとめ

荒川帆立さんの「元彼の遺言状」を読んだ感想を紹介しました。

流行っているだけあって、さすがの面白さ。オチもハッピーエンドで後味もスッキリでした。

全体的にテンポが良く、ポップな雰囲気なので読みやすいですね。法律や会計、お金の知識がある人はより読みやすいと思います。

綾瀬はるかさんが演じる主人公が容易に想像でき、小説を読むときも脳内では完全に綾瀬はるかさんでした。ドラマが始まるまでに小説を読んで、そのままリアルタイムでドラマを観たかったですね。

興味のある方は是非読んでみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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