【春期限定いちごタルト事件】おいしいココアの作り方【小説レビュー】

2021年5月25日

こんにちは。つぼみです。

春期限定いちごタルト事件。東京創元社から発行されている米澤穂信先生の書き下ろし文庫です。今回は、この小説のレビューを書いていこうと思います。

概要

図書概要

タイトル:「春期限定いちごタルト事件」

出版社:東京創元社

著者:米澤 穂信(よねざわ-ほのぶ)

定価:580円+税

初版発行:2004年12月24日

ページ数:251p

著者

米澤 穂信(よねざわ-ほのぶ)

1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞しデビュー。2011年、『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞、14年には『満願』で第27回山本周五郎賞を受賞。他の著作に『さよなら妖精』『犬はどこだ』『リカーシブル』『王とサーカス』『Iの悲劇』など。

(創元推理文庫 春期限定いちごタルト事件 著者紹介より抜粋)

あらすじ

物語の舞台は船戸高校(ふなどこうこう)。主人公の小鳩常悟朗(こばとじょうごろう)は、中学三年の初夏からの知り合いである小佐内ゆき(おさないゆき)と互恵関係を結び、清く慎ましい「小市民」を目指し、ある意味での高校デビューを果たします。

高校入学以前の小鳩くんは、自身の周りで起こる事象を推理し、開陳することが好きな少年でした。しかし、敬遠されたり嫌われたりと嫌な思いをする事が多く、高校では推理をしない事で「小市民」を目指そうとしています(小佐内さんがどうやって「小市民」を目指そうとしているかは、ぜひ読んで確かめてみてください)。

しかし、そんな「小市民」への道を阻むかのように、小鳩くんの行く手には不可解で些細な謎が待ち受けています。それは、女子生徒の消えたポシェットであったり、OBが残した不可解な絵画であったり…。

感想

全部読んだらより楽しめる

「長いし読んでるうちにどれが誰だか分からなくなる」

小説は読まないの?と、以前あおいに聞いた時に返ってきた返事です。確かに小説、特にミステリって登場人物多いし人間関係複雑だし伏線も色んなところに張ってあるしで、読者も気を張って読まないと理解できないイメージがあります。

だけど、米澤先生の作品は、一章ごとにひとつの謎を解明していく、短編集のような構成になっています(米澤先生の作品を全て読んだわけではないので、例外もあるかもしれませんが…)。

しかも、取り扱う謎がものすごく些細。

「ホットミルクココアを作ったのにシンクに鍋は無く、洗った形跡もない」

「テスト中に、ロッカーから栄養ドリンクの瓶が落ちて割れた」

こんな些細な出来事を題材に物語が展開されていきます。シチュエーションがあまりにありふれていて想像しやすく、世界観に没頭しやすいのがいちばんの魅力だとつぼみは思っています。

一章だけ読んでも十分楽しめるとは思いますが、やはり米澤作品のファンとしては頑張って最後まで読んでもらいたいものです。

というのも、米澤作品あるあるとして「全体を通して大きな事件(謎)の伏線が張り巡らされている」をつぼみが提唱しているからです。

一冊の本の最後の章でその伏線を全回収して、解き明かしていくのが米澤スタイルです。今作も、第2章「For your eyes only」の序盤でパクられた小佐内さんの自転車を中心に、各章に張り巡らされた伏線が、見事終章「孤狼の心」で回収されていました。つぼみは米澤作品を毎回イッキ読みしてしまいます。結末に向かうにつれ回収されていく伏線の数々。背筋がゾクゾクしてたまりません。

作品中に出てくる魅力的なスイーツたち

「春期限定いちごタルト事件」。名前からしておいしそうなこの作品ですが、作中にもおいしそうなスイーツがたくさんでてきます。アップルジャムクレープ、「アリス」の春期限定いちごタルト、「ハンプティ・ダンプティ」のケーキバイキング…。そのほとんとが甘党設定の小佐内さんのお腹の中に消えてゆきます。

いちごタルトを食べながら読みたかったな、と思いながら読んでいたつぼみですが、読み進めるうちにある飲み物に心を惹かれました。小鳩くんの小学校の同級生、堂島健吾(どうじまけんご)が作る「うまいココア」です。

“よく聞けよ。コーヒーカップにココアパウダーを入れ、そこに熱々のホットミルクを注ぐ。このとき、注ぐミルクをごく控えめにするのがコツだ

ごく少量のホットミルクを加えられたココアパウダーは、ごりごり練ってやるとペースト状になる

パウダーがすっかりペースト状になったところで、もう一度ホットミルクを注ぐ。欲しい量だけだ。砂糖を適量、あとはかき混ぜれば、

こうなる"

あ、おいしそう。思い立ったが吉日で、すぐにココアパウダーを買いに行きました。

最近は暑いけど、原作に倣ってあえてホットで。ただ、つぼみはダイエット中なのでミルクを豆乳に変更して作りました。

レシピ「おいしいココアの作り方」

材料(マグカップ1杯分)

  • ココアパウダー…ティースプーン2杯
  • はちみつ…お好み(つぼみはティースプーン1杯)
  • お湯…20ml
  • 豆乳…180ml

作り方

①マグカップに豆乳を入れ、500Wの電子レンジで1~2分温める

②別のマグカップにココアパウダーとお湯10mlを入れる

③ティースプーンでごりごり練ってやる

④残りのお湯とはちみつを入れる

⑤ティースプーンでごりごり練ってやる

⑥豆乳をココアパウダーの方のマグカップにザバーっとひと思いに移す

※つぼみは上手にできないので、必ずシンクの上でやります。

⑦全体をティースプーンでかき混ぜる

まとめ

いかがでしたか?

「春期限定いちごタルト事件」は、高校が舞台のライト・ミステリです。

舞台設定もさる事ながら、ページ数も200ページ強と読みやすいため、推理小説デビューにはもってこいの作品だと思います。

果たして小鳩くんと小佐内さんは、無事高校3年間を「小市民」として清く慎ましく過ごすことができるのか。

また、小鳩くんと小佐内さんの過去に一体何があったのか。

わたし、気になります(わかる人にはわかるネタです笑)。

続編として、「夏期限定トロピカルパフェ事件」、「秋期限定栗きんとん事件」、「巴里マカロンの謎」まで出ているようです(令和3年5月26日現在)。

次作はもう少し暑くなってきてから、トロピカルパフェを片手に読みたいなと思うつぼみでした。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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