【感想】村田沙耶香「コンビニ人間」ごく普通の日常の異様さを描いた作品

2021年8月22日

こんにちは。つぼたっくのあおいです。

今回は 村田沙耶香さん著書の「コンビニ人間」を読んだ感想について紹介します。

第155回芥川賞受賞作として注目を浴びた「コンビニ人間」を今更ながら読了しました。

買っていてまだ読んでなかったのを完全に失念。

これは急いで読まねばと思い、急いで読みました…

凄く引き込まれる内容で、約150ページとページ数も少ないので1日で読み終わりました。

一気に読んだので、物語の世界にのめり込むことができ最後には何とも言えない気持ちになりました

後味が悪いとか、完全なバッドエンドとかってわけではない。

ではないんだけど…ハッピーエンドでスッキリ完結!ってわけでもないんですよね…

でも自分的には納得できるオチだったかなと思います。

それでは 村田沙耶香 さんの「コンビニ人間」について紹介していきたいと思います。

書籍紹介

書籍概要

題名:コンビニ人間

著者:村田沙耶香

初版発行日:2018年9月10日

値段:580円+税(文庫)

あらすじ

主人公古倉恵子は彼氏いない歴36年、コンビニバイト歴18年の36歳女性。
自分は「普通」ではないということを自覚しているが、自分ではみんながいう「普通」をわかっていない。

主人公はコンビニ店員でいることで社会の一部になれると自覚しており、オープン当時から18年間コンビニで働いている。

ある日、婚活目的の男性白羽がコンビニの新人としてやってくる。
この男はコンビニバイトや店長を下に見る発言が多く、業務態度も最悪な35歳のフリーター。

すぐにアルバイトをクビになるのだが、主人公の恵子は「普通」になるために白羽を家に置くことに…。

「普通」とは何か?を考えられる作品です。

感想

主人公視点の異様な世界観

「コンビニ人間」は最初から最後まで「普通」ではない主人公恵子の視点で話が進んでいきます。


そして、恵子自身も自分が「普通」ではないということ自体には気づいているというのが本作の面白い部分です。

周りからの反応で自分が「普通」じゃないことはわかるけど何が「普通」でどうやったら「普通」になれるのかが分かっていないのです。

「コンビニ人間」の主人公の視点からその風景を見るとその光景があたかも異様なことのように描かれているのが印象的でした。

「普通」な光景を主人公の視点から見ることであたかも異常な世界のように描かれています。

普通の会話や人間関係ですら異様に映ってしまうのが面白いところです。

ただ、恵子はそれに対して悩んでいたり、それが嫌で苦しんでいる描写などは全く描かれません。

主人公の思考や立ち振る舞いが何か人間っぽくなくて無機質のような感じがするんですよね(笑)

普通とは何か?を考えさせられる

さっきから「普通」という言葉を連呼していますが、たぶんこの章でも連呼します(笑)

この本を読んでいる時はずっと「普通」ってなんだっけ?と考えていました。

この本では「普通の人間」と「普通じゃない人間」が何度も対比されます。

主人公の恵子とコンビニバイトの新人でフリータの白羽が「普通じゃない人間」、その他の登場人物が「普通の人間」として描かれています。

ただ、「普通」とは何かが根本的にわかっていない恵子からみると白羽は「普通」の人間のように映っているように思えました。

恵子は「普通」じゃない人は「普通」な集団から排除されると考えており、これって現代社会そのものであるように感じました。

みんなが勝手に決めた「普通」にそぐわない人は集団から徹底的に排除される光景はまさしく異常ですよね。

「普通の人間」たちの光景をあたかも異常であるように描くのが上手なので、「普通」が余計に分からなくなるんですよね(笑)

最近、メンタリストのDaiGoさんがホームレスの方への差別発言をして炎上しました。これってこの本に描かれていることと非常に関連しているのではないでしょうか。

DaiGoさんは「普通」ではない人(今回はホームレスの方や生活保護の方)を排除しても良いというような意見を発信してしまいました。(だいたいこんな事を言ってたような気がする)

それに対して、ネットやテレビがDaiGoさんを「普通」ではない人として社会から排除していこうとしています。

結局DaiGoさんの「自分にとって大切ではない人は排除しても構わない」という主張をネットやテレビでたくさんの人がDaiGoさんを排除(誹謗中傷)することで証明してしまっているなんとも皮肉な結果ですよね。

自分にとっての「普通」が他の誰かの「普通」ではないということを理解することが大切なのではないかと考えさせられました。

コンビニ人間というタイトル通りの内容

タイトルにもある通り主人公がコンビニ店員になり、コンビニでのアルバイト業務をこなす場面が多々出てきます。

自分が大学時代にコンビニバイトをしていたということもあって、こんな業務あったな~とか、掃除めんどくさかったな~とか懐かしい気持ちが味わえて楽しかったです。

主人公の恵子は大学生の時にコンビニアルバイトを始めます。恵子にとっては完璧なマニュアルがあり、「店員」になることで社会の一部になれると感じています。

マニュアル通りの「店員」にはなれます。ただ、マニュアルの外ではどうすれば「普通」の人間になれるのかはさっぱり分からないと言っています。
そういうこともあり、36歳になるまでコンビニ店員を続けているのです。

常にコンビニバイトのことを考え、コンビニの商品のみを食べて生活している主人公はまさにコンビニ人間です。

でもこの本の面白いところは読んでいて主人公のことが可哀想だとは思わないところです。

「36歳女性コンビニバイト彼氏歴なし「普通」がなにか分からない」って結構しんどいと思うのですが、主人公は特に不満や悩みを抱えてなく、毎日淡々と過ごしています。

怒るという感情も良く分かっておらず、腹を立てることもありません。
主人公に対して同情や哀れみの感情が全くわかないのがいいんですよね(笑)

このように無機質な感じからもコンビニ人間という表現はピッタリなです。

まとめ

今回は村田沙耶香さんの「コンビニ人間」について紹介しました。

正直このようなジャンルの本を読んだのは初めてで、感想を書くのは非常に難しかったです。

うまくまとまってないかもしれないし、あまり魅力は伝わってないかも…(笑)
でも、とても面白かったし読んでよかったということは自信をもって言えます。

とにかく、いろんな人に読んで欲しい作品です!!

この記事を読んで少しでも興味を持ってくださったなら、是非読んでみてください!
150ページなのですぐ読み終わります!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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