【感想】東川篤哉「交換殺人には向かない夜」初心者でも読みやすいミステリー小説

2021年7月12日

こんにちは、つぼたっくのあおいです。

今回は、東川篤哉さんの小説「交換殺人には向かない夜」を読んだ感想について紹介したいと思います。

今まではミステリー小説に対して「シリアスでおどろおどろしい物語」「複雑な伏線や小難しい文章」というような勝手なイメージを持ってました。そのため、1度も読んだことがなかったです。

なんとなく本屋で面白そうだなと手に取って読んでみましたが、ミステリー小説のイメージを覆されました。

こんなポップなミステリー小説ってあるんだ…

所々にギャグや登場人物の面白おかしい掛け合いがちりばめられており、ミステリー以外の要素でも楽しめる作品でした。最初に読んだミステリー小説がこの本で良かった!と思っています。

これを機にミステリー小説にどんどんハマりそうな予感です。

この記事ではネタバレは避けますので、まだこの作品を読んだことが無い方も是非この記事を読んでいただけたらと思います。

書籍紹介

基本情報

題名:交換殺人には向かない夜

著者:東川篤哉

初版発行日:2010年9月20日(新書 2005年9月)

出版社:光文社(新書 2005年9月)

値段:648円+税(文庫)

概要

この本は東川篤哉のミステリー小説シリーズ「鳥賊川(いかがわ)市シリーズ」の4作目の作品です。

架空の都市烏賊川市を舞台として物語が進んでいきます。

シリーズ物ですが、前作を読んでない方でも楽しめる内容となっています。

(実際自分はミステリー小説自体読んだことが無かったのですが、最後まで楽しみながら読むことができました。)

ギャグ要素多めでユーモアあふれるミステリー小説で、小説を読むのが苦手な人にも読みやすい内容です。

タイトルにもある通り、交換殺人をテーマとした作品です。

あらすじ

主人公鵜飼杜夫の探偵事務所に婦人善通寺咲子が不倫調査を依頼しに訪問してくるところから物語が始まる。

本書は3つの場面が同人進行的に進んでいく。

1つ目の場面は、鵜飼が探偵事務所がある「黎明ビル」の管理人二宮朱美と共に、使用人を装い山奥の豪邸に潜入する。

2つ目は、鵜飼探偵事務所の見習い探偵戸村流平はガールフレンドの十乗寺さくらに誘われ、友人の水樹彩子の山荘で宿泊する。

3つ目は、烏賊川市の刑事である志木刑事和泉刑事は商店街で起こった殺人事件の捜査で町中で聞き込み調査を始める。

この一見関係のなさそうな3つの出来事が絡まりあい、1つの結末に収束する。

タイトルですでに交換殺人というトリックを明かしているが、それがどのように明かされるかが見どころです。

感想

登場人物が魅力的

この本を読んでいてまず思ったのが、登場人物の癖がすごい!

主人公の変人ぶりもさることながら、依頼人をはじめとする他の登場人物も曲者ぞろい

全キャラクターが魅力的に感じました。

また、物語の随所での掛け合いが面白いです。

緊迫しているシーンでもくだらない雑談をしているので緊張感なく読み進めることができました。

先ほど、3つの場面に分かれていると説明しました。

それぞれのシーンでキャラクター同士の掛け合いが繰り広げられておりキャラクターの性格が良く分かるようになっています。

主人公の探偵とその助手、女刑事とその後輩の会話など、皮肉や冗談交じりの会話を読んでいると微笑ましい気分になりました。

ミステリー小説は重苦しい雰囲気だろう、小難しい会話が淡々と進んでいくんだろう…

と勝手すぎる想像をしていたので、このポップさに驚かされました。

シリーズ物の4作目ですが、会話を聞いているだけでキャラクター同士の関係性や人となりが分かるのでこの本から見ても楽しめると思います。

キャラクター目当てで他の作品も読んでみたいなと思わされました。

伏線回収と本格推理

ミステリー小説の醍醐味と言えば伏線回収ですよね。

ミステリー小説を読んでない私でもさすがに知ってます。

ギャグやキャラクター同士の掛け合いなどポップな部分が目立ちますが、本筋のミステリーや推理はとても本格的でした。

ユーモアとミステリーがいい塩梅で融合している作品だと言えます。

トリックも手が込んでおり、最初から最後まで伏線がちりばめられています。

物語の終盤にかけて、伏線が一気に回収されていったところはとても爽快でした。

やはり、伏線が回収されているときが一番興奮するのは間違いないですね!

また、タイトルに「交換殺人」とトリックの正体が明示されているのも魅力の一つです。

ネタバレになりそうなのであまり詳しくは言えませんが、、、これも伏線になっていたりなっていなかったり…

推理も本格的なので、ミステリー好きの人も十分楽しめると思います。

綺麗な終わり方でスッキリ解決

最後にモヤっとする終わり方のドラマや映画って結構多いですよね。

曖昧な感じで終わったり、後味の悪い感じで完結したりと。

最後は読者や視聴者の想像に任せるみたいな感じの終わり方。

私はあまり好きではありません…推理が苦手だから分からないし正直ぜ~んぶ説明してほしい!

この作品は終わり方がとても綺麗だと感じました。

謎やしこりをほとんど残さずに完結していると思います。

(ここでほとんどと書いているのは、自分の読解力がなく見落としている可能性もあるため)

事件もスッキリ解決し、トリックや起こったことなどがしっかりと種明かしされています。

推理が苦手な私でもしっかり理解できました!

物語の終わり方の好みに関しては人それぞれだと思いますので、モヤっとした含みのある終わり方が好きな人は少々物足りなく感じるかもしれないです。

まとめ

今回は「交換殺人には向かない夜」について紹介しました。

交換殺人を題材とした、ユーモアあふれるミステリー小説で、ミステリー小説初心者の私でも楽しく読み終えることができました。

キャラクターが魅力的でギャグ要素や掛け合いなどミステリー以外の要素でも楽しめる点がたくさんあります。

シリーズ物の4作目ですが、この作品から読んでも全然問題ないと思います。

ミステリー小説を全然読んだことがない方もミステリー小説を良く読んでいる人も両方ともが楽しめる作品だと思っています。

この記事を見て少しでも興味を持っていただけたのなら是非読んでみてください!

最後まで読んでいただきありがとうございました。